法人設立のポイント
 このページでは、NPO法人を設立するにあたってポイントとなる知識をご紹介いたします。
1 特定非営利活動法人(NPO法人)の設立認証の根拠
(1) 特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)           
(2) 宮崎県特定非営利活動促進法施行条例(平成10年宮崎県条例第26号)
(3) 宮崎県特定非営利活動促進法施行条例施行規則(平成10年宮崎県規則第69号)
2 法律の目的と法人格取得の効果
 近年、福祉、環境、国際協力、まちづくりなど様々な分野において、ボランティア活 動をはじめとした民間の非営利団体による社会貢献活動が活発化し、その重要性が認識 されています。
  これらの団体の多くは、任意団体として活動しているため、銀行で口座を開設したり、 事務所を借りたり、不動産の登記をしたり、電話を設置するなどの法律行為を行う場合 は、団体の名で行うことができず、様々な不都合が生じています。
  この法律は、これらの団体が法人格を取得する道を開いて、このような不都合を解消 し、その活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与することを目的としてい ます。
  また、特定非営利活動法人は、自らに関する情報をできるだけ公開することによって、 市民の信頼を得て、市民によって育てられるべきであるとの考えがとられている点が、 この法律の大きな特徴となっています。すなわち、法人の信用は、法人としての活動実 績や情報公開等によって、法人自らが築いていくことになります。
なお、特定非営利活動法人の設立の認証は、法により書面審査が原則となっており、 法に定める要件が整っていれば、必ず認証を行わなければならないこととなっています。
  このため、団体に対する認証は、宮崎県知事がお墨付きを与えたわけではありません。
3 法律の概要
(1) 対象となる団体
  この法律に基づいて、特定非営利活動法人になれる団体は、次のような要件を満たすことが必要です。
 ア 特定非営利活動を行うことを主たる目的とすること。
 イ 営利を目的としないものであること。  
 ウ 社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと。
 エ 役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること。
 オ 宗教活動や政治活動を主たる目的とするものでないこと。
 カ 特定の公職者(候補者を含む)又は政党を推薦、支持、反対することを目的とするものでないこと。
 キ 暴力団でないこと、暴力団又は暴力団の構成員等の統制の下にある団体でないこと。
 ク 10人以上の社員を有するものであること  

 ア 特定非営利活動を行うことを主たる目的とすること 
   (ア) 次のいずれかに該当する活動であること
     a 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
     b 社会教育の推進を図る活動
     c まちづくりの推進を図る活動
     d 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
     e 環境の保全を図る活動
     f 災害救援活動
     g 地域安全活動
     h 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
     i 国際協力の活動
     j 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
     k 子どもの健全育成を図る活動
     l 情報化社会の発展を図る活動
    m 科学技術の振興を図る活動
    n 経済活動の活性化を図る活動
    o 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
    p 消費者の保護を図る活動
    q 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は
      援助の活動
  (イ) 不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とすること
     法人の活動が特定の受益者のみに対するものであってはなりません。
     例えば、会員の相互扶助活動は、受益者が特定されるので、その活動だけでは
     認められません。ただし、従たる活動として行うことまで制限するものではありませ
     ん。

  イ 営利を目的としないものであること
    「営利を目的としない」とは、収益を上げてはならないという意味ではなく、収益
    (利益)を社員に分配してはならないということです。NPO法人が、特定非営利活動
    以外に収益事業等の「その他の事業」を行うことは、法で認められています。
    ただし、ここにいう収益事業等とは法人税法上の収益事業とは定義が異なります。
    法人が行う特定非営利活動以外の活動によって収益を上げようとする事業を収益
    事業と定義しており、特定非営利活動に支障のない範囲で、かつ、その収益(余剰
    利益)は、社員で分配してはならず、すべて特定非営利活動に充てなければなりま
    せん。                 
【収益事業の例】
河川環境の保全を目的とするNPO法人が、河川環境の保全を啓発するイベン トや研修
事業を行いたいが、会費や寄付では予算が足りないため、バザーにより 収益を上げようと
する場合、このバザーを行うことが収益事業と位置づけられる。


  ウ 社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと
    社員の入会、退会等について、不当な条件をつけてはなりません。
    なお、社員とは、社団の構成員の意味で、総会で議決権を持つ者がこれに該当し
    会社に勤務する人(会社員)という意味ではありません。
    NPO法では、総会で議決権を有する者のことを社員と呼びます。  
    具体的には法人の定款の社員の資格の得喪に関する規定において判断されます。
【不当な条件の例】
    ・ 正会員の推薦がなければ入会することはできない。             
    ・ 正会員は、○○の資格を持つ者に限る。                      
      ただし、法人の活動内容と照らして客観的な合理性があれば、不当な条件と
      ならない場合があります。 
 

  エ 役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること
    「報酬」とは、一般に労務の対価として支払われる金銭のことですが、この場合は、
    役員の地位に対し支払われるものを意味し、役員が事務局員を兼務する場合等
    労働の対価として支払われる給与や交通費等の実費は含みません。
    なお、社員の報酬に関する制限はありません。

  オ 宗教活動や政治活動を主たる目的とするものでないこと
(ア) 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的と
   するものでないこと。                    
(イ) 政治上の主義を推進し、指示し、又はこれに反対することを主たる目的とするもので
   ないこと 
  カ 特定の公職者(候補者を含む)又は政党を推薦、支持、反対することを目的とするも
    のでないこと 

    特定の公職(衆議院議員、参議院議員並びに地方公共団体の議会の議員及び
    長の職)の候補者(当該候補者になろうする者を含む。)若しくは公職にある者又は
    政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とするものでないこと。

  キ 暴力団でないこと、暴力団又は暴力団の構成員等の統制の下にある団体でないこ
    と

    申請に係る法人が暴力団又は暴力団及びその構成員若しくは暴力団の構成員で
    なくなった日から5年を経過しない者の統制下にある団体ではないこと。その構成
    員(暴力団の構成団体の構成員を含む)の統制の下にある団体でないこと。

  ク 10人以上の社員を有するものであること
    法人の構成員が最低10名いることが条件となっており、役員もこの数に含めること
    ができます。
(2) 役員の要件
  ア NPO法人の役員は理事と監事で構成され、理事は3人以上、監事は1人以上
    必要です。


  イ 次のいずれかに該当する者は、役員になることができません。
  (ア) 成年被後見人又は被保佐人
  (イ) 破産者で復権を得ないもの
  (ウ) 禁固以上の刑に処せられ、その執行の終わった日又はその執行を受けることが
     なくなった日から2年を経過しない者   
  (エ) この法律若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に
     違反したことにより、又は、刑法第204条(傷害)、第206条(現場助勢)、第208条
     (暴行)、第208条の2(凶器準備集合及び結集)、第222条(脅迫)、若しくは
     第247条(背任)の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことによ
     り、罰金の刑に処せられ、その執行を終わった日又はその執行を受けることがなく
     なった日から2年を経過しない者
  (オ) 暴力団の構成員等
  (カ) 設立の認証を取り消された特定非営利活動法人の解散当時の役員で、設立の認
    証を取り消された日から2年を経過しない者
  ウ 役員のうちには、それぞれの役員について、その配偶者若しくは3親等以内の親
   族が1人を超えて含まれてはなりません。かつ、当該役員並びにその配偶者及び3
   親等以内の親族が役員の総数の3分の1を超えて含まれることになってはなりませ
   ん。   

  
【例示】
・ Aという役員がいる場合、Aの配偶者のBまでは認められるが、さらに、Aの長男のCが
役員になることはできない。
 ・ 役員が5人で構成される法人の場合、役員Aの配偶者のBは役員になることはできな
い。

  法人成立までの手続

                                                        (法人成立)   

 

 

 

 県公報登載

  縦覧
(県生活・文化課)  2か月間

            

       4か月以内

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   2週間以内

 

 

 特定非営利活動法人を設立するためには、法律に定められた書類を添付した申請書を
所轄庁に提出し、設立の認証を受けることが必要です。
 提出された書類の一部は、受理した日から2か月間、公衆に縦覧されます。
  所轄庁は、申請書の受理後4か月以内に認証又は不認証の決定を行い、設立の認証
後、登記することにより、法人として成立することになります。

  所轄庁について

宮崎県内にのみ法人の事務所を置く場合は宮崎県知事、2以上の都道府県に事務所を 置く場合は内閣総理大臣(内閣府)が所轄庁となります。
【例示】
   ・ 宮崎県内と海外に事務所を置く場合は、宮崎県知事が所轄庁となる。
   ・ 法人成立後に、他県に事務所を増やす場合は、所轄庁が宮崎県知事から内閣総
    理大臣へ移行するが、その際、内閣府に対して法人の定款変更申請の手続が必
    要となる。
6 設立認証申請に必要な書類
(1) 設立認証申請書(1部)
(2) 定 款(2部)
(3) 役員名簿及び役員のうち報酬を受ける者の氏名を記載した書面(2部)
(4) 各役員が役員の欠格事由等に該当しないことを誓約し、並びに就任を承諾する書面 の謄本(1部)
(5) 各役員の住所又は居所を証する書面(住民票等)(1部)
(6) 社員のうち10人以上の者の氏名及び住所又は居所を記載した書面(1部)
(7) 団体の(主たる)目的が宗教活動や政治活動でないこと等を確認したことを示す書面
  (1部)

(8) 設立趣旨書(2部)
(9) 設立についての意志の決定を証する議事録の謄本(1部)
(10) 設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書(2部)
(11) 設立当初の事業年度及び翌事業年度の収支予算書(2部)

  これらの書類のうち、2部ずつ提出する必要のある(2)、(3)、(8)、(10)、(11)の書類の
1部が縦覧により一般に公開されます。
設立認証に必要な書類の様式例はこちら